ピロリ菌とは?
ピロリ菌(Helicobacter pylori)は胃粘膜に生息するらせん型をした細菌です。ピロリ菌感染は自覚症状なく、生涯にわたって持続することが多く、胃粘膜の慢性炎症を背景に、胃がん、胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープなどのさまざまな疾患の併発を引き起こします。また、特発性血小板減少性紫斑病や小児の貧血などの消化管以外の疾患との関連性も指摘されています。
ピロリ菌の除菌に成功すると、胃炎が改善し、胃癌、胃・十二指腸潰瘍など、ピロリ菌関連疾患の予防に結びつくことが期待されています。また、ピロリ菌の主な感染時期は乳幼児期なので、一度除菌すれば再感染する危険性はほとんどありません。
慢性胃炎(萎縮性胃炎)
ピロリ菌が胃粘膜に感染すると胃の粘膜が萎縮し、腸上皮化生(腸のような粘膜になる)や胃のひだがなくなったりします。この変化により胃の防御機能が弱くなり、胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因になったりします。ピロリ菌に感染している人の胃がんの危険性は15~20倍以上と言われています。
保険診療上、ピロリ菌の検査・除菌を行う前に、胃カメラの検査を受け、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の診断と、胃がん、胃・十二指腸潰瘍がないことを確認することが重要です。
ピロリ菌の除菌方法
ピロリ菌の除菌方法は抗生剤2種類と胃酸を抑える胃薬を一緒に1週間飲むという方法です。多くの方が2回の除菌で胃の中からピロリ菌を除去できます。除菌治療の4週間後以降に再度ピロリ菌がいないか検査します。除菌後再感染する率は1年間で0.2%といわれていますので、殆どありません。
除菌するのが若ければ若いほど将来胃がんになる確率を低下させると言われています。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の予防にもなるので血液をサラサラにする薬を内服している方も除菌することをお勧めします。
ピロリ菌は大人から子供への口移しでも感染すると言われているので、除菌された方はご子息やご両親も検査することをお勧めします。